赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

戦前生まれの千里眼の祖母、高度成長期生まれのレディース&漫画家の母、平成生まれのニートな私の物語。
世界と人間に謎が充ち満ち、世の中が強風にあおられたかのように一つの方向へ向かっていた祖母の時代からは不思議な不気味さと奥深さを感じた。謎が解体され、人々が次に向かうべき方向を見失い始めていた力強い母の時代を経て、私の時代には何も残されなかった。
発展とか革命とか反抗とか、わかりやすい物語が無くなった、信じられなくなった私の時代だが、祖母にも母にも実現できなかった「あること」を実現できる可能性に私が気づく場面はひどく勇気づけられた。
みんながみんな同じ物語に身を置かなくても良いんじゃないか、というのが私の真の名の意味するところなんじゃないかな。

この作者さん、ラノベの人だったらしいんですが、とてもそうは思えないような重い筆(特に祖母の時代)でした。面白かった。

新宿区立図書館から借りました。読書時間3時間くらい。